マイオピン

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近視進行抑制効果のある点眼薬-マイオピン

★0.01%アトロピン(マイオピン)の点眼薬

当院では、0.01%アトロピン点眼薬による近視進行を抑える治療を行っております。 非選択性坑ムスカリン作用をもつアトロピンは、その毛様体弛緩作用による調節の遮断、眼軸長(近視は、この眼軸長が延長することが知られています)延長の抑制などの作用により、近視の進行を抑制することが以前から知られていました。しかし一方で1%アトロピンでは、散瞳作用と調節麻痺作用が強く現れるため、学童への使用は、侵襲が大きすぎるものと考えられてきた。これに対して、当院が治療している低濃度(0.01%)のアトロピン点眼剤においても近視進行抑制効果があることが、報告されました。そして、副作用が非常に少なく安全なものです。

  • 1)対象:6歳~12歳までで、軽度~中等度(-1D~-6D)までの学童の方
  • 2)就寝前に必ず1滴点眼する
  • 3)この治療は、保険適応外なので、自由診療でお薬代3000円、診察・検査代1000円かかります。
  • 4)3ヶ月に1回診察・検査が必要です。

マイオピンとは

Myopine(マイオピン)とは、学童期の近視の進行を抑制させることを目的にアトロピンを0.01%配合させた点眼薬で、Singapore National Eye Centre(SNEC:シンガポール国立眼科センター)の下記の研究に基づいて開発されました。(参考文献1)

★マイオピンの特徴

  • 1. 副作用が少ない良好な近視進行抑制点眼薬です
  • 2. 近視の進行を平均60%抑制することができます
  • 3. まぶしさに悪影響をさほど及ぼさず、更にサングラスもほとんど不要です
  • 4. 目の遠近調節機能(短焦点機能)に殆ど影響を与えません
  • 5. 近見視力の正確さに殆ど影響を与えず、更に累進点眼鏡も不要です
  • 6. 毎日、就寝前に1滴点眼するだけの、非常に簡単な治療法です
  • 7. 各容器は両眼用に1ヶ月間使用可能です
  • 8. 本製品はGMP(医薬品製造管理および品質管理基準)準拠の薬品会社により製造されています

マイオピンは近視の症状を有しているお子様(6歳から開始可能)への処方が推薦されており、処方の際は最低2年間使用を継続して下さい。

★近視の進行を抑制することが大切な理由

近視は特にその症状が深刻な場合回復不能な視力喪失、即ち黄斑変性症、網膜剥離、または緑内障に発展する可能性があります。最近の研究によりますと、東アジア諸国、即ちシンガポール、台湾、香港、及び日本での近視の有病率及びその重度は上昇する傾向にあることが指摘されており、具体的には60~80%の青年が近視を患っており、15~20%が重度であることが確認されています。本傾向は各種メディアによる視力への悪影響、更に財政的なストレスの増加に起因すると考えられています。

★マイオピン点眼薬が選択される理由

アトロピン配合点眼薬は、近視の進行を抑制させる点で統計的にも臨床的にも顕著な効果が確認されている唯一の治療法です。アトロピン1%は1960年から近視治療用に使用され続けています。

しかしながらアトロピン1%は下記のような不快な副作用を引き起こします。

  • 1. 瞳孔の拡張に起因するまぶしさがでます。
  • 2. 目の遠近調節機能(短焦点機能)の低下を理由に近くの物がぼやけて見え、読み書き等近くを見る必要がある作業に困難が生じる
  • 3. アレルギー性結膜炎及び皮膚炎

マイオピンはアトロピンの局所点眼を超低濃度から処方することにより最適な近視抑制を実現するので、近視の進行スピードを効果的に抑え、同時にアトロピン1%による不快な副作用を回避します。

★マイオピンの安全性について

シンガポール国立眼科センター(SNEC)の研究によりますと、アトロピン0.01%の効果は点眼後、徐々にでてきます。(参考文献2)

  • 1. アレルギー性結膜炎及び皮膚炎はほとんど引き起こしません
  • 2. 眼圧(IOP: Intraocular eye pressure)に影響を与えません
  • 3. 白内障を形成しません
  • 4. 点眼終了後も目の遠近調節、または恒久的な瞳孔の拡張機能が喪失することはありません
  • 5. 網膜の機能に一切影響を与えません

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Chia A, Chua WH, Wen L, Fong A, Goon YY, Tan D. Atropine for the treatment of childhood myopia: changes after stopping atropine 0.01%, 0.1% and 0.5%(小児近視治療用アトロピンについて、アトロピン0.01%、0.1%、及び0.5%を点眼終了後の変化). Am J Ophthalmol. 2014 Feb(眼科:2014年2月); 157 (2) :451 – 457. e1. doi: 10.1016/j.ajo.2013.09.020

Chia A, Chua WH, Cheung YB, Wong WL, Lingham A, Fong A, Tan D. Atropine for the treatment of childhood myopia: safety and efficacy of 0.5%, 0.1%, and 0.01% doses (Atropine for the Treatment of Myopia 2)(小児近視治療用アトロピンについて、アトロピン0.5%、0.1%、及び0.01%を点眼した場合の安全性及び効能(進行度2の近視治療にアトロピンを使用した場合)). Ophthalmology. 2012 Feb(眼科:2012年2月); 119 (2) : 357 – 54. doi: 10_1016/j.ophtha.2011.07.031.

Tong L, Huang XL, Koh AL, Zhang X, Tan DT, Chua WH, Atropine for the treatment of childhood myopia: effect on myopia progression after cessation of atropine(小児近視治療用アトロピンについて、アトロピン点眼終了後の近視進行に対する効能). Ophthalmology. 2009 Mar(眼科:2009年3月); 116 (3) : 572 – 9. doi : 10.1016/j.ophtha.2008.10.020 Epub 2009 Jan 22,

Chua WH, Balakrishnan V, Chan YH, Tong L, Ling Y, Quah BL, Tan D. Atropine for the treatment of childhood myopia(小児近視治療用アトロピンについて), Ophthalmology. 2006 Dec(眼科:2006年12月); 113 (12) 2285 – 91. Epub 2006 Sep 25.

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Chia A, Chua WH, Cheung YB, Wong WL, Lingham A, Fong A, Tan D. Atropine for the treatment of childhood myopia: safety and efficacy of 0.5%, 0.1%, and 0.01% does (Atropine for the Treatment of Myopia 2) (小児近視治療用アトロピンについて、アトロピン0.5%、0.1%、及び0.01%を点眼した場合の安全性及び効能(進行度2の近視治療にアトロピンを使用した場合)). Ophthalmology. 2012 Feb(眼科:2012年2月); 119 (2) : 347 – 54, doi: 10.1016/j.ophtha.2011.07.031.

Q&A

Q:本当に効果があるのですか?

A:シンガポールでのスタディで効果があることが証明されました。

また、日本でも7大学*で臨床研究が行われていますが、同じ点眼薬です。
川崎医大、大阪大学、京都府立医大、日本医大、慶応大、筑波大、旭川医大

Q:副作用はありますか?

A:7~8時間ぐらいまぶしさとぼやけることがあり、まれに結膜アレルギーがございますが、就寝前に必ず点眼して頂ければ、朝には元に戻っております。

Q:オルソレンズの併用はできますか?

A:もちろんできます。就寝前にまず、マイオピンをさして、5分以上空けてからオルソレンズを装用します。

Q:どれぐらい続けるのですか?

A:人にもよりますが、12歳ぐらいまでです。

Q:戻りは、ないのでしょうか?

A:最近の研究スタディでは、2年以上点眼しなくても効果は維持できております。

Q:全身への影響はありますか?

A:ありません。

Q:効果がない方もおられますか?

A:約25~40%ぐらいの方が、効果が無い場合もございますが、それを見分ける為も2年ぐらいは続けられることが望ましいと思われます。

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