続発緑内障について(1)
2024.10.24|ブログ
みなさま、こんにちは。院長の杉山です。すっかり秋らしく、過ごしやすくなりましたね。当院もおかげさまで開院6年目に入っています。そして、私ごとながら赴任して2年が過ぎ、3年目に入ろうとしております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
さて、今回から続発緑内障について解説します。大部分の緑内障は原発性といって原因が不明(特定できない)のもので、以前、このブログでも採り上げた「正常眼圧緑内障」「原発開放隅角緑内障」「原発閉塞隅角緑内障」などがそれに当たります。一方、続発(性)緑内障はどちらかというと少数派で、ほかの病気や薬剤などが原因で起こるのですが、原因によって種類が多いので、2~3回に分けて説明します。
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ステロイド緑内障
簡単にいうと、ステロイド剤と呼ばれる薬が原因で起こる緑内障のことです。ステロイド剤とは体内で作られるステロイドホルモンのうち、副腎皮質で作られる副腎皮質ホルモンを基に製剤化した薬のことです。ステロイド剤は主に炎症を抑えたり、免疫を調整したりするのに用いられますが、一方で様々な副作用があることが知られています。緑内障もその一つですが、点眼・内服・軟膏、どの場合でも起こり得ます。眼圧が上昇する結果、視野欠損を生じることもあります。普通はある程度の期間(数日~数週間、平均で約2週間)、使用を続けた場合に発症しますが、よほど進まないと自覚症状がないので注意が必要です。ステロイド剤によって眼圧は正常成人の5%で著明上昇、30%で軽度~中等度上昇、緑内障の方ではさらに多くの割合で眼圧上昇するという報告があります。また、糖尿病や強度近視、小児などがステロイド緑内障の危険因子(起こりやすい)とされています。
ステロイド緑内障はステロイド剤の中止で眼圧が正常化することが多いですが、それでも眼圧が下がらない場合には眼圧を下げる点眼薬が処方されます。それでもなお十分下らない場合にはレーザーや手術を要することもあります。
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炎症による緑内障
ぶどう膜炎などの炎症によって起こる緑内障も続発緑内障の一種です。ぶどう膜とは眼球を構成する膜の一つで、虹彩・毛様体という眼球の前の部分と脈絡膜という眼球の後ろの部分とから成っています。ぶどう膜炎の原因はさまざまで、自己免疫疾患(サルコイドーシス、原田病、ベーチェット病その他の膠原病)、細菌・ウイルスなどの感染、糖尿病、悪性腫瘍などですが、原因が特定できない場合もあります。
ポスナー・シュロスマン症候群と呼ばれる病気も炎症による緑内障の一種です。通常は片眼性で、発作性・再発性の眼圧上昇をともなう虹彩毛様体炎ですが、ほとんどの場合、視神経や視野の異常を起こさず、予後良好です。
炎症による緑内障は点眼薬による治療が基本となりますが、薬だけで不十分な場合は手術を要することもあります。
以上、今回は続発緑内障の一部について説明しました。残りは次回以降にご説明します。ほかのことでも目について気になる症状がある場合は遠慮なくご相談ください。コンタクトレンズの処方希望やトラブルの方もお気軽にお越しください。