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新任のご挨拶と慢性緑内障について
2023.2.28|ブログ

みなさま、こんにちは。寒波続きだったこの冬も終わり、徐々に春らしくなってまいりました。

昨年11月から院長を務めている杉山です。最初に少し自己紹介を。眼科医になったのが昭和60(1985)年の春ですので、38年ぐらい経っています。約28年間の大学勤務時代は緑内障を専門としていました。

そこで今回は緑内障、特に慢性タイプの緑内障についてまとめてみようと思います(急性のタイプについてはまた改めてお伝えしたいと思います)。

さて、緑内障は40歳以上の20人に1人の有病率で、決して珍しい病気ではありません。ただ、そのうち約90%という大部分の方は緑内障であることを知らず、眼科にかかっておられないことがわかっています。何故そういうことになるのでしょうか。緑内障、特に慢性緑内障の症状(視野欠損)は相当進行しないと自覚しないのが普通で、多くの場合、検診で眼底の異常を指摘されて見つかるからです。検診結果に「視神経乳頭陥凹拡大」と記されていれば、それは緑内障の疑いという意味です。緑内障かどうかの診断には視野検査が必要になりますが、OCT検査(眼底三次元画像解析)も参考になります。ちなみに当院にもこれらの検査機器は完備されています。

我が国では緑内障患者さんの7割近くが慢性緑内障です。慢性緑内障には正常眼圧の緑内障と高眼圧の緑内障がありますが、前者すなわち正常眼圧緑内障が慢性緑内障の大部分(9割以上)を占めています。ここでいう眼圧とは眼球内の圧力で、これによって眼球の形が保たれています。

緑内障の治療としては(正常眼圧緑内障であっても)眼圧を下げることが一般に行われます。それによって視野欠損が進むのを(完全ではないにしても)抑えられることが分かっています。眼圧のレベルにもよりますが、特別に眼圧が高くない限り、まずは点眼薬(目薬)により眼圧を下げる治療が行われます。レーザーや手術で眼圧を下げる方法もありますが、それを行っても視野欠損が治るわけではありません。一方、緑内障がかなり進まない限り、中心の視力は低下しませんが、だからといって安心はできないです。矯正視力(眼鏡やコンタクトレンズによる視力)が保たれていても視野欠損が広範囲になると生活に支障が出るようになり、それはどんな方法でも回復することが出来ません。ですから、視野がそれなりに残っている間に点眼治療を始め、継続することが大切です。眼底の検診を受け、もし異常を指摘されたら、必ず眼科を受診してください。一度失われた視野は取り戻せないので、早期発見・早期治療とその継続が望まれます。

なお、緑内障には遺伝的な要素が少なからずあるので、身内(血のつながりのある親族)に緑内障の方がおられる場合は特に要注意で、積極的に検査を受けられた方がよいと思います。

以上、今回は慢性緑内障についてなるべく簡潔にお伝えしました。もし、緑内障に関してご心配な方はお気軽にご相談ください。当院では検査はもちろん点眼薬による治療を行っております。ただ、視野検査は原則予約で行っていますので、予約なしの場合は当日出来ないこともあるのでご了承ください。

もちろん、ほかの眼の病気やコンタクトレンズ処方についても丁寧な検査・診療・説明を心がけておりますので、遠慮なくお越しください。

 

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