急性緑内障について
2023.6.27|ブログ
みなさま、こんにちは。
院長の杉山です。当院に赴任して早半年が過ぎました。今年は梅雨入りが例年より早かっただけに、早めの梅雨明けが期待されます。
さて前回お約束したので、今回は緑内障の中でも、急性タイプの緑内障についてお伝えしようと思います。
まず、急性緑内障の有病率は緑内障全体のせいぜい2割前後です(慢性タイプは前回7割近くと書きましたが、正確には8割近くでした)ので、けっして多くはありません。
閉塞隅角緑内障と呼ばれる緑内障の大部分が急性タイプの緑内障で、一方、開放隅角緑内障と呼ばれる緑内障の大部分が慢性タイプなのですが、いずれも例外があります。ここで出てきた「隅角」というのは眼の中の液成分である房水が眼の外へ出てゆく箇所です。ここが開いているか閉じているかで緑内障は大きく二分されます。何らかのきっかけで隅角が閉じると房水の行き場がなくなって眼内に貯まってしまうので、眼圧が急激に高くなり、急性緑内障の状態になります。
急性緑内障の症状としては、眼の痛みや充血、高度の視力障害ですが、頭痛を伴うこともあって、内科に飛び込まれることがたまにあります。急性閉塞隅角緑内障の場合は特に迅速な眼科的治療が必要で、1~2日放っておかれると手遅れになることもありますのですぐに眼科を受診することが必要です。
急性閉塞隅角緑内障に対しては点眼薬などの薬物治療も補助的に行われますが、手術やレーザーによる治療が基本となります。生憎、当院では手術やレーザーの設備がないため、それらが可能な施設にご紹介することになりますのでご了承下さい。つい先日も急性閉塞隅角緑内障を数日前に発症された方を手術のできる他施設に紹介したところ、その日のうちに手術していただき、事なきを得ました。
慢性のタイプと同様、遺伝的な要素があるので、身内に急性閉塞隅角緑内障を起こされた方がおられたら、特に注意が必要です。
閉塞隅角と開放隅角の中間ぐらいに狭隅角という状態があり、閉塞隅角に移行する場合もあり得るのですが、閉塞隅角と狭隅角では、瞳孔が散大すると眼圧が上がることがあります。瞳孔が散大するきっかけとして、(専門的になりますが)抗コリン作用や交感神経刺激作用をもつ薬(抗不安薬や抗ヒスタミン剤など)を摂取することが挙げられるので、注意が必要です。長時間、暗い部屋でうつむき姿勢を続けることも瞳孔散大や眼圧上昇のきっかけになることがあります。
緑内障の中では少ないですが、ほかに炎症やステロイド剤、外傷、糖尿病などによる続発緑内障と呼ばれるタイプがあり、それらには急性に発症するもの(急性緑内障)も含まれます。また、非常に稀ですが、先天緑内障(小児緑内障)もあります。いずれにせよ、「緑内障=失明」というわけではなく、適切な治療によって視力や視野が保たれる場合が多いので、むやみに心配せず、早めに眼科を受診して治療を受けることが大切です。
今回は急性緑内障、特に急性閉塞隅角緑内障について、なるべく簡潔にお伝えしました。緑内障に限らず、目に気になる症状がある場合は遠慮なくご相談ください。コンタクトレンズの処方希望やトラブルの方もお気軽にお越しください。