飛蚊症と散瞳検査について
2023.10.26|ブログ
みなさま、こんにちは。
院長の杉山です。私事ながら昨年11月当院に赴任して早1年近くが経ちました。葛城良昌理事長、スタッフの方々、来院される皆様、家族など多くの方のおかげで、何とか無事に1年を過ごすことができ、心から感謝しています。今後も丁寧な診療を心がけたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
今年は夏の暑さが例年以上に厳しく長かったですが、10月に入った頃から急に季節が進んで涼しくなり、特に朝夕は寒いぐらいになりましたね。プロ野球では関西の両球団(阪神・オリックス)がリーグ優勝を果たし、まもなく日本シリーズで熱戦の火蓋が切られようとしています(10月24日現在)。
さて、今回は多くの人が経験したことのある「飛蚊症」について説明します。明るい所や白い壁、青空などを見つめた時、目の前に虫や糸くずなどの浮遊物が飛んでいるように見えることがあり、この症状を「飛蚊症」と呼んでいます。浮遊物の形はそのほかにゴマ様、タバコの煙様など色々あり、それら全てを総称して「飛蚊症」と呼びます(必ずしも蚊のような形とは限りません)。この症状も、急に起こったり、いつの間にか起こっていたり、と経過はさまざまです。
直接の原因は、眼の中の大部分を占める硝子体(しょうしたい)と呼ばれるゼリー状の透明な部分に混濁を生じ、その混濁が硝子体の中をふわふわと動くために浮遊物が飛んでいるように感じられるのです。この混濁ができる原因には病的なものとそうでないものがあり、大部分が病的ではないのですが、まれに病的なものがあります。病的な原因としては、網膜剥離や網膜裂孔、硝子体出血、ぶどう膜炎などがあり、それぞれに治療が必要です。
さて、飛蚊症が病的な原因かそうでないかを見極めるために、可能であれば散瞳検査を行います。散瞳検査とは瞳孔を開ける目薬を点眼してから眼底検査をすることをいいます。この際、注意しないといけないのは、以前「急性緑内障について」で説明しましたように、閉塞隅角と狭隅角では、瞳孔が散大すると眼圧が上がることがある点です。散瞳する前に診察をして、閉塞隅角や狭隅角でないことを確認しますが、閉塞隅角などで散瞳検査によって眼圧が上昇する危険性の高い場合はある程度のリスクを覚悟で散瞳(但し、散瞳作用の比較的弱い点眼薬を使用)することになります。あるいは散瞳検査を急ぐ必要がない場合にはレーザー治療などの処置をして、リスクを低くしてから散瞳することもあります。いずれにせよ散瞳した場合は半日ぐらい瞳孔が元に戻らず、その間はまぶしかったり見にくかったりする状態が続き、運転などはできないので、注意してください。
ちなみに病的でない飛蚊症の場合はそのまま放置して問題ありません。飛蚊症自体は完全になくならないことが多いですが、万一、浮遊物の数が極端に増えたり、大きくなったりした場合は再度検査が必要です。
今回は飛蚊症と散瞳検査について、お伝えしました。そのほかでも目について気になる症状がある場合は遠慮なくご相談ください。コンタクトレンズの処方希望やトラブルの方もお気軽にお越しください。